「賞」は褒美、「罰」は罰を与えること。この2つを合わせて「賞罰」と言います。
みかみさん(発信者)は、昔の中国の本にある考えだと言って、優れた上に立つ人が使う剣は2本だけだと話しています。その2本が、褒美と罰です。人を動かすのは、いつ褒めて、いつ罰するか。この使い分けがすべて、という考え方です。
動画では「罰(ばつ)」と言っています。ただ、この言葉は強く聞こえます。
この講座では、動画の「罰」を「叱る・注意する・事前に決めた対応」と言い換えて書きます。動画の言葉は、そのまま引用する時だけ「罰」と書きます。
動画のみかみさんの会社は、業務委託(外部の契約で働く人)が前提です。動画の中で、パワハラ(職場のハラスメント)の法律について「うちは業務委託だから関係ない」と、はっきり言っています。
あなたのヘルパーさんは、雇用しているスタッフです。同じ言葉や同じやり方をそのまま使うと、パワハラや労働法の問題になる場合があります。第3章で、確認できた法律の情報とあわせて説明します。
○ 関係する単元:No.04(ルールは少なく)
○ この単元の「やってはいけないこと」は、No.04で出てきた、人から奪うこと(テイク)のことです。動画の例は、立場を使って会社のお金を抜くことです。数を少なく絞っておく前提で読んでください
○ 評価の見方は、No.06(後で出ます)で扱います
みかみさんは、人の行動を2つに分けて考えます。やるべきこと(やってほしいこと)と、やってはいけないことです。
そのうえで、「やった」と「やらなかった」の組み合わせで、4つの場面ができます。整理すると、次のとおりです。
| 場面 | 動画の対応 | この講座の言い方 |
|---|---|---|
| やるべきことをやった | 褒める | 褒める |
| やってはいけないことをした | 罰する | 事前に決めた対応をする(叱る・注意する) |
| やるべきことをやらなかった | 放置(褒めない・罰しない) | 叱らず、褒めない |
| やってはいけないことをしなかった | 放置(褒めない) | 褒めない |
動画では、褒めるのは1つ目だけ、対応するのは2つ目だけ。残りの2つは、何もしません。 ただしこれは、業務委託のメンバーを前提にした話です。雇用しているスタッフが「やるべきこと」をしなかった時の対応は、第3章③に書きます。
多くの人が間違えるのは、3つ目と4つ目です。
「やるべきことをやらなかった人は、叱ればいい」と考えがちです。みかみさんは、これを良くないと言います。やるべきことをやらなかった人に罰を与え始めると、きりがないからです。自分にも、やっていないことはあるはずだ、と言います。
4つ目も同じです。「ルールを破らなくて偉いね」と褒めるのは、おかしい、という考えです。破らないのは当たり前だからです。
みかみさんの会社の例が出ています。朝礼に出ている人には、「おはよう、いつも早くていいね」と声をかけて褒めます。出ていない人には、何も言いません。
ToDo(やること)も同じです。毎日タスクを出している人には、毎日「偉い」と声をかけるそうです。出していない人には、何も言いません。みかみさんは、やるべきことをやった人を褒めるのが、自分の習慣になっていると話しています。
放置するのは、冷たいようにも見えます。けれども、みかみさんの理由は、組織の中の見え方にあります。
もし、やるべきことをやっていない人を褒めたり、やっていない人にだけ甘くしたりすると、まじめにやっている人がやる気をなくします。動画では、アルバイトでの体験談として出てきます。週に7日出ている人が褒められず、たまに来る人だけが褒められると、組織全体に悪い影響が出ます。
○ よくある勘違い:「放置」は、無視や冷遇ではありません。何も言わないだけで、その人の話を聞かなくなる、という意味ではありません
○ 「放置」の対象は、「やるべきことをやらなかった時」と「やってはいけないことをしなかった時」だけです。やってはいけないことをした時は、第2章で見るとおり、事前に決めた対応をします
みかみさんは、使い分けの一番の敵は人情だと言います。仲のいい人、身内、気に入っている人には、つい甘くなるからです。
動画では、2つの形が出てきます。やってはいけないことをしても「今回は多めに見る」。やるべきことをやらなくても「頑張っているからいいよ」。どちらも、その人だけを特別扱いしています。
特別扱いは、しない。これが、4つの場面を使い分ける大前提です。
逆に、気に入らない人にだけ厳しくするのも、同じ特別扱いです。仲のいい人にも、そうでない人にも、同じ基準で対応します。
特別扱いをしないためには、やってはいけないことを少なくしておきます。多すぎると、一人ひとりを見る余裕がなくなります。結果として、見逃す人が出ます。
みかみさんの会社でやってはいけないことは、人から奪うこと(テイク)です。No.04と同じ考え方です。
動画では、やってはいけないことをした時の対応は、その人が今までどれだけ頑張ったか、どれだけ好きかには関係なく、組織として必ず行う、と話しています。その代わり、基準は少なく、単純にしてあります。
雇用しているスタッフの場合は、ここに法律の条件が加わります。処分には、理由と程度が相当であることが要ります(第3章②)。
少ないから、みんなが分かります。みかみさんは、そこに「ここは超えてはいけない」という線の感覚が生まれる、と言います。
褒め方について、みかみさんは「何でもいい」と言っています。動画に出てきた例は、次のとおりです。
お金をかけなくても、褒めることはできます。みかみさんは、歴史の例も紹介しています。ナポレオンの話です。お金が足りなかったので、階級や勲章をたくさん作って、戦いで活躍した人に渡しました。勲章を付けていると、酒場で人気者になれます。それが、お金のかからない褒美になった、という話です。
○ 動画の中で、罰の例として「パワハラにならないギリギリまで強く言う」「ねちねち言う」「皮肉を言う」「少し恥ずかしい思いをさせる」といった言い方が出てきます。みかみさんは、これらを「業務委託だから法律は関係ない」という前提で話しています
○ この講座は、これらの叱り方を勧めません。皮肉や、人前で恥をかかせる叱り方は、どの事業でも使わない方が安全です
○ 関係する単元:No.06(成果物を見て、質問を促す。後で出ます)
ここまでの動画の話は、業務委託を前提にしています。みかみさん自身が、パワハラの法律は「うちは業務委託だから関係ない」と言っています。
あなたのヘルパーさんのように、雇用しているスタッフに、「罰する」「詰める」「皮肉を言う」「放置する」をそのまま当てはめてはいけません。パワハラや、労働法の問題になる場合があります。
使えるのは、考え方の部分です。やるべきことをやった人は褒める。人に対して特別扱いをしない。やってはいけないことは、少なくする。ここまでは、雇用でも使えます。
雇用しているスタッフに関わる法律で、2026-11-05時点で公式ページで確認できた内容は、次の4つです。
つまり、雇用しているスタッフに処分をする時は、理由と程度が相当であることが要ります。表彰や制裁を定めるなら、前もって就業規則に書いておくことも要ります。
○ 2026-11-05時点で公式ページで確認した法律の情報です(単元に1回の注記)
○ 出典(パワハラ防止の措置):厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
○ 出典(懲戒の無効。労働契約法第15条):e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128
○ 出典(就業規則の作成・届出と表彰・制裁の定め。労働基準法第89条。減給の上限。同法第91条):e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
○ パワハラの定義の細かい要件までは、この講座では確認できていません。自分の事業に当てはめる時は、社労士など専門家に確認してください
ここからは、この講座からの提案です。罰を与える代わりに、2つを用意します。
叱る前に、「何のルールから、どう外れたのか」を、本人と一緒に確かめます。決まりがあり、共有してあり、同じ基準で話し合うなら、特別扱いも避けられます。
雇用しているスタッフが「やるべきこと」をしなかった時は、放置しません。 たとえば訪問介護で、訪問の記録が出ていない時です。ここは利用者さんの安全や事業所の運営に関わるので、黙って見過ごすわけにはいきません。 事前に決めた手順(いつまでに出すか、出ていない時は誰がどう声をかけるか)に沿って確かめ、なぜ出せなかったかを話し合います。責めるためではなく、出せるようにするための話し合いです。
家族と一緒に働いている時も、同じです。身内だから見逃す、身内だから厳しくする、ということをせず、同じ基準で対応します。
常時10人未満の事業所では、就業規則の作成と届出の義務はかかりません。それでも、守ってほしいことと、外れた時の進め方を、紙に書いて共有しておくと話し合いがしやすくなります(これはこの講座からの提案です)。10人未満の場合に何をどこまで決めておくべきかは、社労士など専門家に確認してください。
業務委託のメンバー(ダンススタジオの講師、Kindleの外注先など)には、動画の考え方を参考にできます。ただし、契約の形が業務委託か雇用かと、契約の内容は、専門家に確かめます。
褒めるのは「やるべきことをやった」時だけ、対応するのは「やってはいけないことをした」時だけ。残りの2つは何もしない。特別扱いはしない。雇用しているスタッフには、動画の罰のやり方を使わず、事前に決めたルールと話し合いで進める。
自分の事業を1つ選び、「褒める場面」と「事前に決めて話し合う場面」を書き出します(10分)。例は、ダンススタジオの講師さん、訪問介護のヘルパーさん、Kindle出版の外注先などです。
介護の仕事を選ぶ時は、利用者さんの名前など本人が分かることは書きません。雇用しているスタッフのことを書く時は、第3章の確認済みの法律の情報を見ながら、書き終えたら専門家へ確かめます。
問1 動画の考え方で、「やるべきことをやらなかった人」に対する対応として、合うものはどれですか。
問2 次のうち、「褒める」場面に当たるものはどれですか。
問3 雇用しているスタッフ(ヘルパーさんなど)への対応として、この講座の考え方に合うものはどれですか。
問4 懲戒(注意や処分)や減給について、確認できた法律の情報に合うものはどれですか。
出典:みかみ『【経営者必見】東大生社長みかみ流「勝手に成長する組織」の作り方!平均年齢26歳の組織が年商25億を生み出す理由!』(YouTube, 2025-09-18, https://www.youtube.com/watch?v=E_WQNi71htg)/みかみ『【必見】ただの大学生が3年で30億稼いだ独自の経営方法!参考にするだけで稼げる。』(YouTube, 2025-03-21, https://www.youtube.com/watch?v=X3jY8IyHwHo)