組織と経営の講座

区分1 組織の土台を知る★★★

No.02 組織とは何か:人が増える得と損

組織とは何かと、人が増えると何が得で何が損かを学びます。この講座全体の土台になる回なので、しっかり読んでください。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 組織とは、目的を共有する集団
  3. 第2章 人が増える得は、やれることが増えること
  4. 第3章 人が増える損は、伝える手間が増えること
  5. 第4章 やってみよう
  6. 確認問題

第0章 前提知識

① 組織 :共通の目的を達成するための集団

この講座の「組織」は、会社の大きさや形のことではありません。 みかみさん(発信者)の定義は、「共通の目的を達成するための集団」です。動画では、これが大前提だと言っています。

同じ場所に人が集まっていても、目的がそれぞれ別なら、この意味の組織ではありません。 反対に、2人だけでも、同じ目的に向かっていれば組織です。 あなたの事業なら、家族と数人のスタッフで回っているチームも、同じ目的を持っていれば組織と呼べます。

② ToDo :やること・作業

ToDo(トゥードゥー)は、やることや作業のことです。 「紹介文を1本書く」「体験の連絡を返す」のように、1人が実際に手を動かす単位をイメージしてください。

③ コミュニケーションコスト :伝える手間

コミュニケーションコストは、人と人が話したり、教えたり、確認したりするのにかかる手間のことです。 お金のことではなく、時間と頭の疲れのことだと考えてください。

この単元のもう1つの主役は、この伝える手間です。 人が増える「得」と「損」を、この2つの言葉で見ていきます。

④ この単元で扱う範囲

この単元は、組織が何かと、人が増える得と損までを扱います。 目的を達成するために何がそろえばよいかは No.03、ルールは No.04、褒め方は No.05、評価の順番は No.06 で扱います。ここでは先取りしません。

○ 関係する単元:No.01(みかみさんの歩みと、何のために事業をやるか)。読んでいなくても、この単元は読めます
○ みかみさんは、数字つきの話もしています(例:スタッフは300人を超えている)。この単元では、字幕に出てきた数字だけを、字幕のとおりに使います

第1章 組織とは、目的を共有する集団

① 目的が同じかどうかで決まる :受験は個人、全国大会を目指す部活は組織 必ず覚える

動画では、まず「組織」の意味をそろえています。 人によって意味が違うので、最初に決めておく、という進め方です。

分かりやすい例が、受験と部活です。 受験は、学校で同じ教室にいても、目指すものは一人ひとり違います。自分の行きたい学校があり、全員が同じ目的を持っているわけではありません。 一方、サッカー部が全国大会に行くのは、全員が同じ目的に向かっています。だから、これは組織です。

つまり、組織かどうかを分けるのは、人数ではなく「同じ目的を持っているか」です。 組織とは、共通の目的を達成するための集団。この言い方は、そのまま覚えてください。

② みんなが良くならないと続かない :一部だけが得をする形は壊れやすい 必ず覚える

もう1つ、みかみさんが強調しているのは、続くかどうかです。 ちゃんと回っている組織は、みんなが楽しそうで、幸せそうで、みんなが良くなっている、と言っています。「みんなが良くならないと組織とは言わない」とも言っています。

大きな会社が長く続いているのも、お互いに良くなる形で回っているからだ、という見方です。 反対に、そうなっていない組織は、たいてい壊れる、と言っています。

ここで、動画は少し幅のある見方もしています。 命令が絶対の組織もあれば、とても自由な組織もあります。やり方はいろいろあり、人の性質や学んできたことで、合うやり方は変わります。 どれが正しいかを決めるのではなく、「一番大事なのは、みんなが良くなること」という点だけは共通だ、という話です。

③ 組織に入ってくる人 :一人ではうまくいかなかった人が力を出せる さらっと

動画の最初に、組織づくりが価値の高い仕事だという話があります。 組織に入ってくる人は、一人ではうまくいかなかった人が多いはずだ、と言っています。その人をうまくいかせるのは、とても良いことだ、という考えです。

あなたの事業でいえば、スタッフや外部の協力者が「ここで働いてよかった」と思える形を作ることが、組織づくりの出発点になります。 深く考えこまなくてよい部分です。「組織は、人を良くするためのものでもある」という点だけ、頭に置いてください。

○ よくある勘違い:「人が集まっていれば組織」ではありません。目的が共通かどうかが基準です
○ 「組織は楽をするためのもの」というイメージも、動画は否定的です。人が増えると、決めることや考えることの量は増えていく、と言っています(詳しくは No.03)

組織は、共通の目的を達成するための集団。みんなが良くなる形でないと続かない。

第2章 人が増える得は、やれることが増えること

① 強みは1つだけ :やれることの量が増える 必ず覚える

では、組織にはどんな強みがあるのでしょうか。 動画で、みかみさんは聞き手にこの質問をします。聞き手は「1人だと限界があるので、人に任せれば自分の仕事に対して力を何倍にもできる」と答えます。

みかみさんの答えは、少し違いました。 強みは、取れるToDoの量が増えることです。人が1人増えれば、やれることは絶対に増えます。 たとえ話もあります。呪文を唱えられる人が2人いれば、同時に2つの呪文を唱えられます。人が増えれば、同時にできることが増えます。

そして、みかみさんは「これ以外に強みはない」と言い切っています。 だから、組織はこの強みに合わせて作らなければいけないのに、多くの人は分かっていなくて、適当に作ってしまう、と言っています。

② 増えた量が合っているかは、別の話 :増えるのは量であって、質や方向ではない 必ず覚える

ここで注意があります。 やれることは増えますが、それが「合っているか」は別の話だ、と動画は言っています。

動画編集の例が出てきます。 人を増やせば、編集できる本数が増えるように思えます。でも、実際に編集者を使った経験を聞かれて、聞き手は「確認や修正の連絡のほうが多かった」と答えています。みかみさんも「謎だよね」と受けています。

つまり、人が増えても、きちんとした品質の成果がそのまま増えるとは限りません。 大きなプロジェクトが進まなくなったり、うまくいかなかったりするのは、この「合っているか」がそろっていないからです。

③ AIがあっても、強みは変わらない :1人プラスAIでも人が増える意味はある さらっと

動画では、今はAIがある時代だという話にもなります。 少人数でもAIを使えば、大きなことができるかもしれません。それでも、人が増える強みは「やれることが増える」こと、と言っています。

AIを使う人が2人になれば、その分だけ同時にできることが増えます。 だから、AIがあるから組織は要らなくなる、という話ではありません。ただし、AIが組織の弱みを減らす助けになる、という話は次の章で出てきます。

○ 関係する単元:増えたToDoが「合っているか」をどう確かめるかは、No.03(目的からずれないようにすること)と No.07(目標から作業に分ける)で扱います(後で出ます)

人が増える得は「やれることの量が増える」だけ。その量が合っているかは別に考える。

第3章 人が増える損は、伝える手間が増えること

① 人が増えると、伝える手間がふくらむ :n人からn+1人になると、n本増える 必ず覚える

組織の弱みを、みかみさんは「致命的」と言っています。 それが、人が増えるほど伝える手間(コミュニケーションコスト)が増えることです。

動画の数え方は、こうです。 AさんとBさんの2人なら、話をつなぐ線は1本です。 ここにCさんが入ると、Cさんを含めた線が2本増えます。さらにもう1人入ると、3本増えます。4人から5人になる時は、4本増えます。

まとめると、n人からn+1人になると、伝える手間はn本増えるです。 人が1人増えるたびに、増える本数も大きくなっていきます。ここは数え方が分かれば十分です。難しい式は出てきません。

② 伝える手間が起こす困りごと :ずれる・直すのが面倒になる・教えるのが大変 さらっと

伝える手間が増えると、実際にこんなことが起きます。動画で挙がった例を、そのまま整理します。

みかみさんは、全部の組織がうまくいかなくなる原因は、これだと言っています。 そして、組織との戦いは、伝える手間との戦いだ、とも言っています。

③ 手間を減らす工夫 :ピラミッド型と、AI 必ず覚える

昔から、この手間を減らすために、いろいろな組織の形が考えられてきました。 その1つが、ピラミッド型です。

ピラミッド型では、1人が伝える相手を、上と下の限られた数に絞れます。 動画では、4人だけ伝えればよい形のたとえが出てきます。反対に、あちこちがつながってぐちゃぐちゃになると、手間が大きくなります。 上司を飛び越えて話すのを禁止する会社があるのも、伝える手間を増やさないためだ、と動画は説明しています。

もう1つが、AIです。 みかみさんは、手間を減らす方法を人類は持っていなかったが、最近「言葉を話すシステム」ができた、と言っています。ChatGPTのようなものです。 このおかげで、伝える手間を大きく下げられた、というのが動画の見方です。

動画では、みかみさんの会社で半年ほどで150人ほど人が増えた、という話もあります。そのうえで、伝える手間は相当大きいはずなのに、会社は耐えている、と話しています。 AIが何をどう下げているかの細かい中身は、この動画では説明されていません。ここは、動画の見方として知っておく程度で大丈夫です。

○ よくある勘違い:「ピラミッド型は古い」「フラットなら楽」という話ではありません。動画は、形ごとに伝える手間がどう違うかを見ています
○ 家族経営の事業で考える時:人が少ないうちは線の数も少ないので、まだ気づきにくい手間です。人が1人増える前に、数えておく意味があります

人が増えると、伝える手間(n人からn+1人でn本)が増える。ピラミッド型とAIは、その手間を減らす工夫。

第4章 やってみよう

自分の事業を1つ選んで、組織としての今の形を書き出します(10分)。 事業は、訪問介護・ダンススタジオ・Kindle出版・コンテンツ販売から選んでください。

  1. 一緒に働く人(家族・スタッフ・外部の協力者)を、役割で数える。名前は書かない
  2. 「この事業は、誰が同じ目的に向かっているか」を1行で書く。目的が人によって違いそうなら、そこに印をつける
  3. その人数の中で、いちばん伝える手間がかかっていそうな2人の間を1つ選び、何を伝えているかを書く
  4. その手間を減らす工夫を、1つだけ考える(例:伝える相手を決める、AIに下書きを頼む)

訪問介護で考える時は、利用者さんの名前など本人が分かることは書きません。 ヘルパーさんは「ヘルパーさん」、利用者さんは「利用者さん」のように役割で書きます。

確認問題

問1 動画の「組織」の定義に合うのはどれですか。

問2 みかみさんが「組織の強みは、これだけ」と言っているのはどれですか。

問3 4人の組織に1人加わって5人になりました。動画の数え方では、伝える手間はどう変わりますか。

問4 伝える手間(コミュニケーションコスト)を減らす工夫として、動画で挙がっているのはどれですか。

出典:みかみ『【管理職必見】マネジメントでこれ知らないと組織は崩壊します...。一年で300名規模の組織を作り上げたみかみ式組織論』(YouTube, 2025-08-09, https://www.youtube.com/watch?v=q1TH3WWxu_4)